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2015年04月15日

【今井優杏旅日記22】荘厳な祭壇の如きサハラ砂漠にて!

自動車ジャーナリスト&モータースポーツMCの今井優杏が月3回ペースで連載する私的旅日記、「旅とクルマと男と女(仮題)」。その第22回は、モロッコ編パート4です!

「サッハ・サハラ!」
それが砂漠にいるあいだの私たちの合言葉で、私と、それから向こうで仲良くなった現地の男の子たち(女の子たちは宗教的なこともあってあんまりお外に出てきません)はしょっちゅうこう言い合ってはゲラゲラ笑い転げていました。ラクダで丘を越えるとき、ものすんごい夕焼けをみたとき、こっそりワインを回し飲みするとき(イスラム教ではお酒は一応NGなんだけど、モロッコ人はお酒が好きな人多いです。でもやっぱなんとなく背徳感ありつつ飲んでる気がします)、ご飯をいただくとき、などなど。
これは原住民であるベルベル人の言葉で「サハラに乾杯!」みたいな意味。サッハ=ありがとう(転じて乾杯のときもサッハでOK)、サハラ=砂漠。そう、だからサハラ砂漠っていうのは「お腹が腹痛」みたいに、ほんとはちょっとおかしな言い回しなんですって。

それにしてもそのサハラという、サラサラと流れる砂をそのまま言の葉(ことのは)にうつしたようなうつくしい響きの語感と、本物のサハラ砂漠のなめらかでつややかな暁色の砂丘の様子は、まるで驚くほどぴったりと一致していました。
生まれて初めてこの目でみた砂漠は、たゆたうビロードの布のごとし。どこまでも継ぎ目なく圧倒的にうつくしく、荘厳な祭壇のよう。
こちらも生まれて初めて乗ったラクダの、ものすんごい突き上げ感ある四輪駆動(そりゃそーだ)にも、そのラクダで向かったベルベル人のテントにはもちろんシャワーはおろかトイレすらもなく、用を足したいときはそのへんの茂みの裏にて済ませなければいけないこと(慣れれば爽快)にも、もちろんそりゃ感激? したけれど、そんなことは取るに足りない砂漠キャンプでの一部分でしかありません。
サハラ砂漠は、私が想像していた何百倍も、ただ圧倒的でした。なんというか、うわありがとうすげーな地球! ブラボー! みたいな稚拙すぎる感想しか出てこないくらい!

連綿と国境を越えて連なる薔薇色の砂の山々の、私たちツーリストが入り込めるのはそのほんの一端にすぎないとしても、そこに踏み入って行くときの気持ちはただひたすら神聖なものでした。
ラクダからついに降り立って、私の裸足の指の隙間に砂漠の砂が入り込んできたときの、うっとりと滑らかでしっとり冷たい感触の心地よさ。それがこれまで私の足の裏が経験したどの砂とも違っていたこと。
感激して両手ですくいあげた瞬間に、指の間から水のように零れ落ちてしまうサハラの砂の粒子の細かさ。その甘い色、ピンクとも茶色とも違う、なんとも言えないこっくりした色彩。
砂丘のてっぺんまで登って、暮れてゆく今日という日を観ていた、三角すわりの自分の指先。
やがて、マラケシュで飲んだ屋台のフレッシュなオレンジジュースみたく嘘みたいな橙色に染まって暮れてゆく夕景。
陽が落ちてもなお、発光するかのようにつやつやと光る近く遠くの砂丘の群れ。
どすん、とやってきた夜を飾るかのように現れた、遮るもののない一面の星空。
その星明りを頼りに砂丘を越え、隣の野営地まで遊びに行ったこと。そう、その星明りの明るさ!
遠く聞こえてくるベルベル人の単調だがエネルギッシュな音楽、スペイン人ツーリストの嬌声。
合流したキャンプファイヤーの周囲では、もうみんなヤバいものでもやってるんじゃないかってくらいに熱狂して踊り狂っていて、単調なベルベル音楽のグルーヴ感が陶酔を煽り、いつの間にか私まで激しく踊り狂っていたこと。
長い夜が明け、日の出を見ようとあわてて砂丘に駆け上がったら興奮しすぎて鼻血が出た(笑)っていうどうしようもないことまで、もう、なにもかもが美しかったのです。

やがてやってきた夜の闇を一瞬で祓う夜明け。
一閃の光が射した瞬間に、それまで凍えるほど寒かった空気が急激にあたたまりはじめて、また熱い砂漠の一日がやってくることを文字通り肌で知ります。
太陽照らされた砂丘に前夜、私たち人間が残した足跡は、夜の間に起こった砂嵐で綺麗に掃き清めれ、ただそこにはアートのように美しく折り重なる砂紋しか残されていないのでした。
「サッハ・サハラ」。
このときばかりは、静かにつぶやきました。感謝以外、何も言えなかった。ただひたすらしんと内面が鎮まってゆくようでした。

(文&写真・今井優杏|次回は2015年4月15日更新予定)

●燃えるオンナ今井優杏のボンバーブログ
http://www.hobidas.com/blog/tipo/imai/

  • さあ、ラクダに乗って砂漠へ出発! 私以外にはスペインからとドイツからのツーリストが。

  • 小一時間くらいでベルベル人のテントに到着します。けっこう広いけど、私のテントは個室に鍵がかからないタイプでした。心配な人は出発前に必ず確認してください。鍵、あったほうが絶対にいいです。

  • 甘い甘い色薔薇色に染まった夕陽。どうしてこんな色に暮れて行くんだろう。泣ける。

  • 遠く歩いていくドイツからのカップル。

  • 私は座って、ずっと日が暮れていくのを見ていました。なんという色彩。

  • さらさらとこぼれては風にさらわれる砂。なめらかでつめたくて。

  • 日没。このあとどすんと闇がやってきますが、星明りがあんなに明るいなんて!

  • 夜明け。太陽って有無を言わさない強大なパワーなんだと痛感しました。

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