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【清水草一、欲望の純結晶143】欲望の大団円

大乗フェラーリ教開祖を名乗るモータージャーナリスト清水草一センセイが、毎週月曜日に更新する連載「清水草一、欲望の純結晶」。第143回は「欲望の大団円」です!!

 約3年にわたったこの連載も、今回で最終回となった。
 約3年前、第1回の原稿は、「これから458イタリアの車庫証明をお店に届けに行く」というシーンから始まった。
 あれから3年。早3年。桃栗3年柿8年。実に早いものだ。
 あの時私は、自分の中に残っていた欲望の燃え滓に点火して大炎上させ、2580万円にて458イタリアを購入したのだった。
 そして今朝、久しぶりにカバーをめくってエンジンに火を入れた宇宙戦艦様は、もう私の古い友達のように感じた。
 あれから3年。私の欲望はまだ燃え尽きてはいないが、しかしいま私が買おうとしているのは、488GTBではなくホンダS660だ。
 私としては、これはまったく正しい欲望の変化である。人間は常に自分に足りないものを補おうとする。宇宙戦艦様で巨大な火柱を上げた私の欲望は、その後は大きすぎた火柱の隙間を埋めようとしている。

 この連載を始めた時、50歳だった私は、今年53歳になった。
 人生の折り返しはとっくにすぎ、もはやゴールが見えている。私の欲望は、3年前のあの時を頂点に、今後は徐々にこじんまりとしたものになっていくだろう。
 人生は儚い。下天のうちを比ぶれば夢幻のごとくなり。ほとんどの人間は、この世に何も残すことはできない。子供だって親のことなんかそうそう覚えちゃいない。なにしろ自分がそうですから。お父さんスイマセン。
 いや、何も残さない方がいいんだ。平清盛みたいに、「儂の墓前に頼朝の首を供えよ」なんて冗談じゃない。立つ鳥跡を濁さず、キレイさっぱり跡形もなく消えて行きたい。50代でまだちょっと早いですが。
 ただ私は、この世に悔いも残したくない。なにかを成し遂げたという達成感を持って死にたい。
 私の場合、それがフェラーリ様だ。
 愛や友情、根性などの抽象的な概念を除き、物質としては、フェラーリ様ほどこの世に絶対的な価値を確立しているものはないのではないだろうか? フェラーリ様は全人類から愛を注がれる絶対善なのだから。
 金は単なる元素で、ダイヤモンドは地球が生成した化合物にすぎないが、フェラーリ様は違う。人間の狂気と欲望が作り上げ、人類の限りない愛を注がれ続ける情念のカタマリだ。
 そのフェラーリ様を手に入れる。たとえ人生の一時期であっても、頭金ゼロの全額ローンであってもとにかく手に入れる。そしてあの美声を聴き神を見る。その時点で男は、「やることはやった」と思えるのではないか。人生大勝利なのではないか。この世は儚いからこそ、私は心の底からそう思うのである。

 皆さん! フェラーリ様を買って大勝利を味わい、心から満足して死んで行きましょうウフフフフ~!

(おわり)

(文・清水草一)

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