趣味の総合出版社、ネコ・パブリッシングが運営する、新着ニュース、最新モデル試乗記、人気ブログからガレージまで、自動車趣味を楽しむ人へ向けた総合ニュースサイト!

ホビダス総合トップへ

2015年04月28日

【今井優杏旅日記23】モロッコ砂漠deスイミング!

自動車ジャーナリスト&モータースポーツMCの今井優杏が月3回ペースで連載する私的旅日記、「旅とクルマと男と女(仮題)」。その第23回は、モロッコ編パート5です!

旅にあたって、その土地を舞台にした小説を読んでから出かける、もしくは持っていって現地で読むというのは(こっちのほうが多い)、旅のひとつのおおきな喜びなんではないかな、と活字中毒の私のは常日頃からおもっています。そう、たまにはその旅のテンションと選んだ小説のテーマが大きく乖離しちゃっていて、あらあらどうしよう、こんな気持ちで旅しようとおもってたわけじゃないんだけど! な読後感を抱くこともままありますが、それはそれでまた旅に深みが出るというもの。
だって旅はきわめてパーソナル。物語の中の「誰か」の眼を通して観る「誰か」の旅は、自分の旅、ひいては自分の人生しか経験するすべを持たないすべての人間にとって、他の人生を垣間見られるひとつの秘密の花園への扉です。ふとその禁断のノブに手をかけた瞬間から小さな紙片に内包された物語が、旅のあいだはトーストに薄く塗ったバターのように薫り高く自分の旅の味わいに奥行きを持たせてくれ、帰国後は旅を思い出すロマンティックなレコーダーになってくれる。場所のリンクは感情のリンクを生み、まるで他人の人生を生きちゃっているような、不思議な浮遊感すら生まれるのは、旅先で集中して読む本ならではのギフトなのじゃないかなと思います。

今回は村山由佳氏著による「遥かなる水の音」を持っていきました。これがまあ胸がきゅっとなるくらい哀しいお話で、特に私はゲイのジャン=クロードの生き方が切なくて切なくて、飛行機で号泣してしまって困りました。この物語の中では、サハラは登場人物のひとりの遺灰を撒く場所として描かれます。
そう、事実サハラは圧倒的すぎて......悲しいかな写真だと鳥取砂丘とあんまり変わんない画しか撮られないんだけど(撮影テクの問題か?)、あの風景を目の前にした時の無力感を巨大なお墓として描いた、作者の心の動きに深く納得したものでした。

だけどごめん、そんな感傷に浸りきるウエットな感情の自分とは別に、砂漠を120%満喫したいハッピーなツーリストとしての自我が圧勝! なんと、砂漠deスイミング、してきちゃいました、えへっ。導入と真逆の超お気楽な感じですみません。
実は私、サハラに行って思ったのです。「あれ? 案外緑だな」って。
3月のモロッコは春。芽吹きの時期であることは間違いないのですが、昨年12月から1月にかけて、今シーズンはとくにたくさん雨が降ったのだそうな。砂漠地方も例外ではなく、まだそこここに豊富な雨の残した大きな水たまりのような池が、砂丘のピンクに映える不思議な蒼でしんと置かれていました。その恵みはパーム椰子を、ラクダの喉を、フラミンゴを湿らせ、砂漠のほとりで生活するすべての人に潤いをもたらすものなのですが、ヨーロッパからのツーリストはときに、これをプールのように使うのですって!

トドラ渓谷から4日間、旅を同行したベルベル人の自称ガイド・アリは「さあレッツスイミング!」とかって砂漠キャンプから帰ってきたわたしをこの池というか水たまりに誘ってくれたんだけど、やっぱ清潔大国日本から来たマダム・イマイとして、この濁った水に入るに若干の躊躇があったことも否めない。
しかし結局は、猫をも殺すと言われる好奇心が勝っちゃいました。だってこのチャンス逃したら、次いつサハラで泳げるかわかんない!
そしておそるおそる身体を浸した水の清冽な冷たさ......そのハッとするくらいの温度と強烈な太陽光のコントラストを我が身で知った、痺れるような感動といったら! 砂漠で泳げるなんて。この見渡す限りどこまでも広がる砂漠に身を浸し、絶景を独占できるなんて! そんなこと、どの小説にもガイドブックにも書いていなかったこと。幸せすぎて涙。そして私は結局、その日去る予定だった砂漠の街に、ついもう一泊してしまったのでした。

(文&写真・今井優杏|次回は近日更新予定)

●燃えるオンナ今井優杏のボンバーブログ
http://www.hobidas.com/blog/tipo/imai/

  • 水のあるところに緑が。8年前は干ばつで、この辺一帯が干上がったそう。今年は豊かな水に満たされていました。

  • 空、砂漠、そして天然のプール。強烈な色彩です。

  • そのほとりにて。付近にはラクダが水を飲みに来た形跡が。このときはまさか水に入るなんて思いもしていなかったという。

  • ちょっと離れた、誰の足跡もない池にて、嬉しくてダッシュ!

  • 思い切って入水! 深い! そして冷たい!

  • 水の色はアレですが、雨水なのでさらさらしています。案外快適。

  • すっかり冷えた後は、サハラ版指宿の蒸し風呂風に砂に埋まる。実はモロッコの人々、たまに温泉に入るみたいにこんな風に砂に埋まって身体を温めるんですって。特に冷える北モロッコのひとに人気だそうな。温泉みたいね! しかしこのあと、服に入り込んだ砂の処理に四苦八苦(笑)。

  • リゾート開発の進むサハラ、素朴なステキリゾートも、実はあります。サハラ見ながらミントティーをいただく幸せ!

自動車&ガレージグッズ趣味人が選びたいカー用品が満載!
コラム 最新記事
今井優杏 最新記事
旅行 最新記事

検索